[読了感想]大石圭「殺人調香師」のレビュー。


[読了感想]大石圭「殺人調香師」のレビュー。

大石圭氏の殺人調香師を読了しましたので、レビューさせて頂きます。

まず最初にお伝えしておきたいのはレビューなんて偉そうな事を言っていますが、前提として作品は優秀かつ文才溢れる著者さんが出版社へ原稿を渡し、厳しいチェックを通じて我々読者の手元に届くわけです。
そうやって作品になった物は少なくとも僕のレビューよりも有意義であり、楽しめる作品であることを理解して読み進めて頂きたい。


大石圭氏の殺人調香師のざっくりレビュー

柏木はハンサムな若き調香師。彼の調合する香水を求め、店には多くの婦人たちが訪れる。だが柏木には大きな秘密があった。彼は調香師にして──連続殺人鬼。命を失ってから数時間にわたって皮膚から立ちのぼる『その薫り』に包まれながら、殺した女を犯すことが、彼の至上の喜びなのだ
説明文より引用。

かつて中国には、その全身からかぐわしい香りを立ち上らせていた三人の美女がいたと伝えられている。
西施(せいし)。楊貴妃(ようきひ)。香妃(こうひ)。の三人である。
春秋時代の女性で呉の夫差王に献じられたのち、呉越の戦いに巻き込まれて命を落とした西施(せいし)の皮膚からは、蘭麝(らんじゃ)=蘭の花と麝香(じゃこう)の香りが立ち上っていたとされる。
唐の玄宗工程の寵愛を受け、傾国の美女とも呼ばれた楊貴妃は、多量の汗をかく膨よかな女で、その汗は彼女の下着に赤い染みを作ったいわれている。そして、その赤い汗からは、強い麝香(ムスク)の香りがしたのだという。
また、清の乾隆帝の時代のウィグル族の王、ホジ・ハーンの妃だった香妃という女は、その全身から例え要目かぐわしい芳香を発していたと伝えられている。
この三人の美女は、いずれも悲劇的な死を遂げたことでも知られている。
本文文頭より引用。

書き出しから非常に読み応えのありそうな印象ですが、393ページとそこまで本も厚くなく「ちょうどいい読書」と読了してからは思います。

さて、今回の大石圭作品の主人公である柏木は異常なまでの嗅覚を持つ調香師で、彼はあらゆるメーカーの香水を香りのみで自分で調香し再現できたり、人の体臭に合わせて似合う香水を作ったりする。大石圭作品ではよく扱われる「突出した天才がサイコ野郎」の類です。

引用の様に柏木はある香りを発する女性に対して発作的な殺人欲求が抑えられないという、クセがすごいことになっている人物で、イケメン、高身長と氏の作品の特徴を見事に落とし込んだキャラクター。

物語は

・彼が雇われ店長として努める香水店のお話。

・彼の過去。

・彼の殺めてきた女性たちの話。

を順繰りする構成で、これもまた氏の展開の型です。

彼の過去、現在が合致し終焉を迎えます。

香水はもちろん、花や料理、体臭などとにかく香りについての記載が多く、これだけでも一見の価値ありです。

ただし、オススメできる人とできない人が居ます。

オススメが出来る人は「大石圭作品初心者」の方には強くお勧めできます。
「呪怨」しか読んだことがない人やまだ氏の作品をあまり読んだことがない人には大石圭ワールドを詰め込んだ今作は「貸すから読んでみ?」と思うほど。

逆にオススメできない人というのは、大石圭ワールドにどっぷり浸かった読者さんですね。

あ、これはあの作品と同じだ!とここはアレかな?と氏の作品のおおよその要素といものが入っているのでちょっと物足りない/刺激の少ない作品と感じるかもしれません。
それでも文字で香りを表現できる著者は多くは居ないと思いますし、「美しさ」の描写はさすが大石圭!と心打たれるシーンも多々あります。
又、あとがきでも読めますが氏と奥方の関係性もどこか羨ましく微笑ましく、最後まで楽しめる作品であります。

読了時間は3時間ほど、今回は飛行機の移動時間内に読みきりましたが後味も氏の作品特有の「薄気味悪さ」でした。





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